おひとり様の遺言2
背景
この方は、60歳になったばかりの老後対策をするには比較的お若い女性の方でした。両親を既になくされており、兄弟姉妹もなくいわゆる法定相続人が存在しない全くのおひとり様でした。
ご自身もまだお仕事をされており、特に持病や体調に異変がある訳でもなくお元気でお暮しでした。そういうわけでご本人も遺言を書いたり、老後対策をするにはまだ早いかなとも迷ってられたのですが、「この不安定な世の中で何が起こるかわからない、あすにでも交通事故にでもあって命を落とす怖れもある。」との思いと、やはり「おひとり」であることで、将来への不安は少なからずあったのが実情です。
そのような事情があったので、ちょうどそう思ったいい機会にご自身の老後対策を考えたいとご相談に来られました。
因みに財産は、現在お住まいの都心のマンションと親から相続した預貯金が相当額お持ちでした。
ポイント
①年齢は60歳と比較的お若かく、健康上の問題もないが将来の老後が不安
②両親が既に他界され、兄弟姉妹もなく、まったくのおひとり様であること
③財産も不動産はじめ相当額を所持
対応
まず、この方の場合「もし万一のことが自身に起こった場合のこと(財産の行き先)が大変不安」であるということでした。
そこで、年齢的には60歳とお若いですが、遺言書(公正証書遺言)を作成することをお勧めし、もしもの時にご自身の財産をもらってもらう団体を決めることにしました。
この方のお仕事が、医療、福祉系であることもあり、ある医療研究機関への相続財産を遺贈するという内容の遺言を作成することに決められました。
さらに、ご自身の老後対策については、まずひとつ目は任意後見契約の締結です。もし万一将来認知症になってご自身で判断能力が低下し、財産管理や生活療養看護について、ご自身ですることができなくなった場合、その面倒を見てもらうための後見人を今お元気な内に指名して契約を結んでおくものがこの任意後見契約です。
この方の場合、年齢的に60歳とまだお若く、任意後見契約の受任者(将来の後見人になったもらう人)が私のようなこの方より年齢の高い者であると、私自身遠い将来のことですから責任が持てなくなってしますので、私が運営するNPO法人相続遺言・交通事故支援センターとの間で締結して頂くというものです。
そうすれば、仮に私自身が将来この方より先に亡くなってしまったり、NPO法人の代表を辞任したりした場合でも、私の後継者が今回の締結した契約を執行することができるのです。
実際、当NPO法人のメンバーには現在40代、30代の人も在籍していますので、この人たちが責任をもってNPO法人を運営してくれますので、お客様にとってもご安心して頂けるものと思っています。
それとこの方の場合、兄弟姉妹もなく近隣にご親族もいないということですので、遠い将来、お亡くなりになった時に、葬儀や埋葬をしてくれるひとがいない訳です。そこで死後事務委任契約を上記任意後見契約同様、私のNPO法人と締結して頂きました。
人がなくなると、やらなければならない仕事がたくさんあります。死亡直後の緊急対応から、葬儀火葬の手配、埋葬、ご自宅の遺品整理、公共料金をはじめとする各種手続きの解約、関係者の方々への連絡等等です。これらの手続きは、親族の方であればそのまますることができるのですが、まったくのおひとり様の場合は、死後事務委任契約がなければ第三者の者はすることができないのです。
そこで、この方の場合、死後事務委任契約の受任者を私の運営するNPO法人との間で締結して頂きました。NPO法人を受任者とした理由は任意後見契約と全く同様です。
任意後見契約、遺言、死後事務委任契約の3つの契約をすべて公正証書にして作成し、何とかこの方にもご安心して頂くことができました。
こういったおひとり様の老後対策で何かお聞きになりたいことがございましたら、なんでもご相談ください。下記バナーをクリックしお問い合わせページからもご連絡できます。
どうぞご利用ください。